腫瘍マーカーの多くはがん細胞の死骸を調べている
医師やがん患者と話すと必ず出てくる言葉がある。「腫瘍マーカー」だ。
「広辞苑」(第6版、岩波書店)によると「腫瘍」とは「体細胞が過剰に増殖する病変。多くは臓器や組織中に腫れ物・瘤として限局性の結節をつくる。発生母細胞により上皮性と非上皮性、また増殖の性質から良性(腺腫、脂肪腫、線維腫、骨髄など)と悪性(肉腫、がん腫など)に分ける」とあり、「マーカー」とは「目印、標識」とある。つまり、がんの目印ということだが、一体どんなものなのか? 国際医療福祉大学付属病院内科学の一石英一郎教授が言う。
「がん細胞の中にはそのがん特有のタンパク質を産出することがあります。そのような物質のうち、主に血液中で測定可能なものを腫瘍マーカーと呼んでいます」
現在、病院で使われている腫瘍マーカーは約40種類。前立腺がんのPSA(前立腺特異抗原)、乳がん・胃がん・膵がん・大腸がんなどで使われるCEA(がん胎児性抗原)などが知られている。
ならば、この腫瘍マーカーを使えばがんは簡単に早期発見できるのではないか? そう思う人もいるだろうが間違いだ。