<13>若い人のがんはたった一つの遺伝子変異で発症する

公開日: 更新日:

 発がんを促すがん遺伝子やがん化にブレーキをかけるがん抑制遺伝子をドライバー遺伝子と呼ぶ。その変異が直接発がんにつながるからだ。一方、本来は発がんとは無関係でありながら、ドライバー遺伝子に巻き込まれて変異した遺伝子がパッセンジャー遺伝子だ。

 前々回、複数のドライバー遺伝子が順番通り変異すると大腸がんになることを紹介した。

 しかし、がんのなかにはたったひとつのドライバー遺伝子の変異でがんになる場合もある。米国がん学会の会員で、最新のがん情報にも詳しい国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授が言う。

「例えば、EML4―ALK融合遺伝子と呼ばれる肺がんの遺伝子です。細胞増殖をつかさどる酵素『チロシンキナーゼ』の一種であるALKが、EML4と融合することで活性化され、歯止めのない増殖が始まり、直接発がんを誘導します」

 この融合遺伝子が「日本の研究者の手で発見された」と発表された2012年当時、この遺伝子が陽性の肺がん患者は全体の約4%、若年肺腺がんの約3割を占め、非喫煙者に多いことが明らかになっていた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された