タイトルが“すごい”本特集
そこでわかったのは、ティラノサウルスの嗅覚が恐竜(獣脚類)の中でも特に優れていたという事実。嗅覚をつかさどる脳の「嗅球」という部位が大きく、視覚を上回る嗅覚で、物陰や夜闇に隠れる獲物を捕らえることができたのではないかという。
映画の中のティラノサウルスは「動かない獲物には反応できない」と描かれてきたが、この嗅球の研究によって、概念が覆されたといえる。
また、ティラノサウルスの噛む力を再現した研究では、3万5000ニュートン(ワニの約9倍)と、とてつもない数値がはじき出された。技術革新によって、ティラノサウルスのハンティング能力のすさまじさがより明らかになったのだ。
一方、もう少し親近感を覚える研究結果もある。(どっこいしょと)腰を下ろして休息していた、トリケラトプスのネック(焼き鳥でいえばせせり?)が好物だったなど、ティラノサウルスの日常を想像させてくれる仮説も楽しい。
実際にティラノサウルスの全身復元骨格に会える場所(国立科学博物館など日本全国で10カ所)や、おすすめの恐竜図鑑なども紹介している。著者と研究者の「恐竜愛のすごさ」がひしひしと伝わってくる本だ。