「カブトムシの謎をとく」小島渉著
「カブトムシの謎をとく」小島渉著
意外なことに、世の中にカブトムシの研究者はほんのわずかしかいないという。
その理由は、生態学の先進国である欧米にはカブトムシやその仲間がほとんど存在していないから。また、大型カブトムシが分布する中南米や東南アジアでも、その生息地は都市部から離れた山の中で、日本のように街中の公園に普通に大型のカブトムシが生息しているのは、世界的に珍しいのだという。これまで十分に研究されてこなかったカブトムシは調べれば調べるほど、新しいことが見つかり、図鑑に書かれているような「常識」が間違っていることも多々あるという。幼虫はどのように質の良いエサを見つけるのかなど、カブトムシの最新の研究を紹介しながら、昆虫や生き物の研究方法を具体的に解説した科学テキスト。
(筑摩書房 968円)