「安楽死が合法の国で起こっていること」児玉真美著
「安楽死が合法の国で起こっていること」児玉真美著
2001年にオランダが世界で初めて積極的安楽死を合法化して以来、その波は世界中に広がり、現在、国や州など22カ所が安楽死と医師幇助(ほうじょ)自殺を導入。安楽死を選択する人も年々、増加傾向にある。日本でも合法化を求める声が上がる中、安楽死先進国の実情を紹介しながら、制度の問題点を指摘するリポート。
当初は、安楽死の対象者は終末期の人だけだったが、今ではその適用範囲は障害者などにも拡大。年齢制限も撤廃され、子どもの安楽死も容認される傾向にある。
そうした各国の事例を紹介しながら、本来は意思決定能力のある本人の自由な意思決定によって選択がなされなければならない安楽死が、社会のための命の選別と切り捨てへと変質し始めているのではないかと警鐘を鳴らす。
(筑摩書房 1034円)