人種差別という病巣…アメリカは少しも過去に学んでいない
コロナが消えかけて、さあ、お互い注意しながら生きていこうぜという時に、アメリカは「人種差別」という400年前からの病巣がずっと社会を悩ませている。白人が黒人を嫌い、蔑視し、まるで人間でないかのように扱い、そして、あっという間に躊躇なく虫けらのように殺す世界が続いてきた。この邪悪なる風習をいつ誰が粉砕できるのか? いい加減に終わりにしてくれと米国民も世界中の人たちもどれだけ声を上げようと、アメリカという国はまったく過去に学んでいない。
人間同士だろうがと思う。もういい加減に分かったらどうなんだと思う。あの黒人を殺した白人警官たちは学校で何を習ってきたんだろう。どこかの州ではダーウィンの進化論を否定する教育を受ける児童生徒が多いのもキリスト教国家らしいが。
日本人の我らでもとっくの昔に「差別は醜悪なこと」ぐらいは学んでいた。1968年、高校に入るなり、人文地理の授業でそれは教えられた。その先生は上着のポケットからハヤカワポケットミステリーブックを一冊おもむろに取り出して、しおりの挟んだページを開けるとその部分を読み上げてくれた。アメリカ南部のミシシッピ州の田舎では綿花畑が広がり、その大地主は金持ちの白人たちで、そこに雇われてブルースを歌って綿を摘むのが黒人たち。これが南部の風景だと。