<2>気を使うにも「しなさ過ぎるのは論外だがし過ぎるのもダメ」

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「談之助兄さんが言う通り、すんなり入門できました。最初に言われたのが、『俺と生理的に合わなかったら、おたがいに不幸だからやめたほうがいい』ということ。それは師匠の生理に自分が合わせることだと理解しました。師匠は私の生理に合わせてくれませんから(笑い)」

 私が知る談志は親切な人である。「親切だけが人を説得する」との名言を残している。弟子にも、前座としてなすべきこと、覚えるべきことなどを事細かに教えた。

「半年は見習いです。落語家としての適性を見極めるテスト期間でしょう。それを経て、談吉という前座名を付けてもらいました。寄席での必須科目、太鼓のたたき方は兄弟子や先輩に教わればいいのに、師匠が教えてくれた。噺の稽古も実に丁寧で、途中で止めて噺の解説をしたりする。なんやかんやで20席以上も稽古をつけてもらってます」

 そんなに噺を教わった弟子は他にいない。

「私の後、しばらく弟子が入ってこなかったこともあります。その分、師匠のお付きは私だけでした。師匠は『程の良さ』を大事にする人なので、気を使うにも過剰になっちゃいけない。『しなさ過ぎるのは論外だが、し過ぎるのもダメ』と言ってました。無駄な動きが多いわりに、必要な時に気を使わない前座がよくいます。それでは談志のお付きは務まりません。私はどんなことにも、程の良さを心掛けて接してました」

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