<2>気を使うにも「しなさ過ぎるのは論外だがし過ぎるのもダメ」
昭和20年代に生まれた落語家は、談志が昭和40年に著した「現代落語論」を読んで感化された者が多い。談幸もその一人である。
「大学3年の年、就職を決める段になって考えました。就職すれば大好きな落語の世界と切断されちゃう。どうしても落語と離れがたい。ましてや、落研の2年先輩が談志に入門して、談Q(現談之助)という芸名で前座修業をしてましたので相談すると、『うちの師匠は取るから。大丈夫』と言うので、談志の門をたたいたわけです」
談幸が明治大学を卒業した1978年当時、談志は新宿区大久保のマンションに住んでいた。則子夫人、長女の弓子さん、長男の慎太郎さんの4人家族である。