<117>野崎幸助さんの「遺言書ネタ」を週刊誌に持ち込んだOが面会に…
「分かったわ、明日飛んでいくから」
1時間ぐらいもああだ、こうだとの会話が続いた後で、木下さんが急に言い出した。
「私の貯金通帳を警察から返してもらわなければいけないこともあるし」
翌日の朝に木下さんは南紀白浜空港に飛んできて、迎えにいった早貴被告と一緒に自宅に戻ってきた。
「あの騒動の後で娘が暮らしているロサンゼルスに逃げたのよ。大リーグのエンゼルスの試合にも行って大谷クンを応援したし、ニューヨークにも行ってさ、ブロードウェーにも行ったわ」
「そりゃあ、豪勢やないか。ドン・ファンからの遺産をあてにしてんのとちゃうの?」
マコやんが笑った。生前、ドン・ファンは常日頃から周囲に「オレが亡くなったら木下さんに1000万円をあげる」ということを言っていたし、早貴被告は事件後にその金額が3000万円だったと木下さんに伝えている。それでマコやんも私も、木下さんには早貴被告から遺産が贈られると思っていたし、そんなやりとりを聞きながら早貴被告は笑っていた。