<117>野崎幸助さんの「遺言書ネタ」を週刊誌に持ち込んだOが面会に…
■本題に触れず…
木下さんが実家へ向かうのと入れ替わるように、Oがドン・ファン宅に来た。子分のような若い青年を伴っていたが、リビングの奥のソファに私が腰掛けているのを見ると、困ったような顔をした。
「Oさん、ドン・ファンの遺言案件でご活躍のようですね」
私の向かい側に腰掛けたOにたっぷり皮肉を交えてやった。
「さっちゃんは、それを絶対に認めないそうですよ」
早貴被告がこっくりとうなずいた。
「私は何も動いていないんですから」
Oは言い訳をしたが、私にも記事を書かないかと誘っていたので通るワケがないのは本人も承知だ。彼は気まずそうな顔をしてすぐに話題を変えた。
ドン・ファンの遺言について何か交渉をしたいんだと分かったが、警戒しているOから最後まで遺言の話題が出ることはなく、1時間ほどして去っていった。