<116>「全財産を田辺市にキフする」赤いサインペンで書かれた異常な「いごん」
アプリコを閉鎖しようとしていた6月半ばごろに野崎幸助さんの「いごん」の存在をにおわす記事が週刊ポストに載った。具体的な内容ではなかったが、〈ドン・ファンの遺言が存在する〉〈田辺市に寄付するようだ〉とあり、私はピンときた。どうやらチョビひげのMやその知人のOが動いているらしい。
その同じ頃にOは私にドン・ファンの遺言書があることを記事にしないかと打診してきた。
「そんなデタラメは書けませんって」
私が一笑に付したのでOは週刊文春にもネタを振ったのである。それを受けて週刊文春は、ドン・ファンの遺言があり資産を全部田辺市に寄付するとある、という記事にした。8月初旬に掲載されたこの記事は、遺言の文面が違っているし、何よりも赤いサインペンで書かれている異常な遺言であることが記されていなかった。「赤いサインペンで書かれた遺言」という見出しでも打ちたくなるような案件であるのに、なぜかそこには全く触れていない。実物を見ずにOの話だけで書いたのだろうと直感した。
「あんな遺言は全くの捏造だから私は絶対に認めないから」