映画撮影で広島県の山村へ…俺を眠らせてくれない古民家
凍える体に布団を巻きつけたまま電灯のヒモを引っ張り状況を確認すると、寝る前につけたガスファンヒーターのスイッチが切れているではないか……、そりゃ冷えるはずだ。昼間地元の人が「この辺りは広島市内より5度は温度が低いけえな」と言っていたのを瞬時に思い出し、ファンヒーターのスイッチをONに……、しかし、数秒後には「ピピー! ピピーー!」という音とともに切れてしまうのであった。それは何度繰り返しても同じ反応で……結局朝まで布団やソファのカバーを頭からかぶり、一夜をふるえながら過ごしたのでした。
翌日、原因を尋ねるとプロパンガスだからなのか長時間続けて使用していると自動的にガスの供給が遮断される仕組みになっているようで……再稼働するにはプロパンガスのボンベの上にあるメーターのスイッチを押せばいいだけのことのようでした……う~ん、また一つ勉強になったけど……これはあまりこの先の人生に必要のない知識だなあ……と思ったのだ。
カエルの鳴き声を心地よいリズムと受け入れ、ファンヒーターの再稼働方法も会得したし、もうこれで古民家での癒やされ睡眠は万全と思っていたら……えーっ! そんなのあるか!? 朝方また眠りの森を気持ちよく散歩していたらウム……部屋の奥から「う~ん、は~あ」とかすかなあえぎ声(?)が……。アララ出ちゃった平家の落ち武者の霊とか? ブーッ不正解!!正解はこの民家の持ち主さんが週に1、2回奥の部屋で鍼灸院をやっているのです(てか、そーいうこと聞いてなかったしー)。つまりは落ち武者ではなく鍼をうたれている患者さんが漏らす声で目覚めたのでした……。
眠らせない古民家生活はそれでも快適でーす。 (つづく)