膨大なセリフをものともせず主人公の多面性に迫る亀田佳明 ゴーチ・ブラザーズの「ブレイキング・ザ・コード」
主人公、アラン・チューリング(亀田佳明)は第2次世界大戦末期にドイツの暗号「エニグマ」を解読し、連合軍を勝利に導いた数学者だ。しかし、その任務は戦争が終わっても極秘にしなければならなかった。
物語はチューリングの生涯を少年時代、第2次世界大戦中の国立暗号研究所勤務時代、そして戦後と各時代を往還させながら描いていく。
1952年、若者ロン・ミラー(水田航生)と一夜を過ごした後、盗難に遭ったチューリングは警察に被害届を出す。やってきた刑事ミック・ロス(堀部圭亮)はチューリングの言動に不可解さを感じ、彼が同性愛者であることを見抜く。同性愛は当時のイギリスでは違法だった。彼は起訴されスパイ容疑で監視される。それから2年後、すべての秘密を抱えたままのチューリングが人生最後の答えを出す。それは……。
チューリングは「コンピューターの父」と呼ばれ、「2000年には機械が知性を持ち考えることができるだろう」と今日のAI(人工知能)を予言している。ChatGPTが話題の今、チューリングの先見性に驚かされる。