俳優・升毅さんは今年で古希「70歳になっても恐れるに足らず」
会場の端っこで何でもいいから万博に関わりたい
直近で楽しみにしているのは大阪・関西万博ですね。70年の大阪万博の時は中学生で、会場が家から近かったこともあって何回も足を運びました。万博は僕にとって身近で大きな出来事でしたね。そんなイベントがまた開かれるので、漠然とだけど、世代的なことだと思うんですが、とても興味を持っています(笑)。
1990年の大阪花博は芝居を始めて20年経った時でした。花博では小劇場でやっていたメンバーと会場で一本芝居を打ちました。やっぱり大きなイベントに芝居で関われた喜びは格別でしたね。今回も芝居で関われるに越したことはないけど、これから準備するのでは難しいので、芝居じゃなくてもいいから、会場の端っこで何でもいいから万博に関わりたい。どこかのパビリオンのキャラクターの声とか、1日だけパフォーマンスで呼んでいただくとか。まだ希望は捨てていません(笑)。
今年は舞台をメインに活動する年にしたいですね。うまくいくと4本の舞台をやることになると思います。関西の小劇場で年間に14本ぐらいやったことがありますが、今年やるのはスケールが違うので大変だけど、なんとか実現させたい。そのひとつが13日からまつもと市民芸術館でやる「殿様と私」です。
その他にもう1本僕が企画する朗読劇を立ち上げたい。僕は8年前に公開された映画「八重子のハミング」で主役を演じました。若年性アルツハイマーになった妻との物語を描いた作品です。亡くなった佐々部清監督が並々ならぬ思いで撮った作品で、監督に引っ張られながら動いた結果、最初は全国8館での上映だったのが半年間で100館を超え、ロングヒットという評価をいただくことができた。地味なテーマですが、現代社会の大切なテーマでもあります。
各地で舞台挨拶をしたり挨拶回りをしてみてわかったのはいいものは人に伝わるし、広がって残るということ。とても手応えを感じることができた作品でした。
その朗読劇を12月に実験的にやってみて、いけるかなと感じました。スタートは僕とギタリストの2人のステージ、それをもっと縮めて僕一人の朗読劇にする。そして単独の朗読劇がうまくいって広められたら、次のステップとして何人かの登場人物による朗読劇にできたらと考えています。
昨年夏に戸塚祥太君と「SLEUTH/スルース」という2人芝居をやりました。2幕もので各1時間くらい、出ずっぱりしゃべりっぱなしの舞台です。70歳を前にしてあの膨大なセリフをちゃんと表現できたことは自信にもなりました。それを経ての今だから、考えていることを実現できるという気がしています。