天才落語家 桂枝雀がうつ病で自殺の衝撃
<1999年4月>
「天才落語家」と呼ばれた桂枝雀。朝の連ドラや映画に出演するなど俳優としても人気を集めていたが、異変が起きたのは春先のことだ。
3月13日夜9時ごろ、大阪・吹田市の桂枝雀の自宅で、3階廊下の手すりにつないだ紐を首にかけ、うずくまっている枝雀を家人が発見する。すぐに紐はほどかれ、市内の病院に搬送されたが、予断を許さない状態。息はまだあったが、当初このことは箝口(かんこう)令が敷かれ、一般には伏せられた。
枝雀はその後も脳の腫れは引かず、18日に集中治療室から一般病棟に移される。そして、さすがに周辺のざわつきが伝わり、自殺未遂から11日後の3月24日に世間に知れ渡るところとなる。脳にダメージを負って植物状態が続いていた枝雀の容体が急変したのは4月19日。マスコミが一斉に報じたが、死因は心不全だった。百面相のような豊かな表情とオーバーアクション、「すびばせんねえ」などの独特の癖のあるギャグで「上方落語の爆笑王」と呼ばれた枝雀のなんとも痛ましい最後であった。