【がん患者への食事】東京医科大学病院 栄養管理科(新宿)
■食が細ると患者は不安になる
がん闘病中の栄養指導は、体力維持と同時に治療効果を高めるため、重要になることもある。
甲状腺がんでは、全摘後に残った甲状腺組織の再発を減らすため、治療用放射性ヨウ素の入ったカプセルを服用する「アブレーション」という治療を行う場合がある。その準備として、治療の2週間前からヨウ素を含む食品を制限する必要があるのだ。
同科は放射線科(核医学)と連携して、そのアブレーション治療を受ける患者の栄養指導を徹底して行っている、全国でも数少ない施設だ。
「甲状腺がんの栄養指導はこれからの分野で、通常は海藻類などヨウ素を多く含む食品を挙げて、食べないように指導している程度です。しかし、当科はあらゆる食品を調べて、通常1日に100~300マイクログラム摂取している量を計算して、100マイクログラム以下まで減らすように指導しています」
ここまで徹底するのは、外食やコンビニ食を中心に、多くの食品に「増粘剤」や「昆布ダシ」などの形でヨウ素成分が使われているからだという。魚も海藻をエサにするので、肉類の方がヨウ素は少ない。同科ではトンカツ、しゃぶしゃぶ、鶏空揚げなど、誰もが好きそうなメニューの調理法や調味料のレシピを教えてくれる。