クスリ社会を正しく暮らす
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薬を飲み忘れた時の対応は「半減期」によって変わってくる
生体内に入った薬などの物質が、代謝や排泄などによって半分に減るまでに要する時間のことを「生物学的半減期」といいます。たとえばこの半減期が1時間の薬の場合、1時間たてば体内の薬物量は半分となり、2時間…
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受診中で「トクホ」や「機能性表示食品」を活用するなら医師や薬剤師に相談を
腸内の細菌叢を改善し、人に有益な作用をもたらす生きた微生物(有用菌)のことを「プロバイオティクス」といいます。 最近は、ヨーグルトなどでも整腸作用だけでなく、便通改善や免疫機能の維持、内臓脂…
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クスリの使い方から見える“新型コロナ”のいま
2019年11月に最初の感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、その後、世界中で多くの死亡者を出しましたが、5年以上経過した現在、予防法や治療法がおおむね確立されてきたように思います。 …
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「うっかりドーピング」を防ぐために薬剤師を活用してほしい
前回取り上げた「ドーピング」について続けてお話しします。 ドーピングというと競技の成績向上のため意図的に禁止物質を摂取する行為を思い浮かべますが、じつは意図しないドーピング、「うっかりドーピ…
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糖尿病や骨粗しょう症の治療の薬もドーピングの対象になる
「ドーピング(doping)」は、スポーツにおいて運動能力を向上させるために禁止されている薬物や方法を使用する行為を指します。ドーピングの語源は諸説ありますが、最も一般的に知られている説は、南アフリカ…
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下水を調査してウイルスの感染状況を把握する取り組みが進んでいる
新型コロナウイルスの「下水サーベイランス」についてお話しします。 下水の中にはヒト由来の新型コロナウイルスが存在します。ですから、下水サーベイランス(下水中のウイルスを検査・監視すること)により、地…
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最近増えてきた「電子版お薬手帳」のメリットと課題
「電子版お薬手帳」という名称を聞いたことがあるでしょうか。これまで「お薬手帳」というと紙製で、そこに処方された薬の情報が記載されたシールを貼るなどして記録していたと思いますが、最近はお薬手帳をスマート…
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本格的な花粉症シーズンが到来…早めの対策が大切
各地で気温が上がる日が続き、本格的にスギ花粉の飛散が多くなっています。今年のスギ花粉飛散開始は早く、東京では1月から飛散が確認され、九州が2月上旬ごろ、中国四国、近畿東海、関東、北陸は2月中旬ごろで…
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いまも続く薬の供給不足…安すぎる薬価では改善は難しい
医薬品は大きく分けて、病院や診療所を受診して医師から処方してもらう「医療用医薬品」と、処方を必要とせずドラッグストアなどで購入することができる「OTC医薬品」の2つに大別されます。現在、医療用医薬品…
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セルフメディケーション税制はスイッチOTC以外の市販薬も対象になる
前回、医療用医薬品から市販薬(OTC医薬品)に転用(スイッチ)したもののことを、「スイッチOTC医薬品」と呼んでいるとお話ししました。スイッチOTC医薬品は、風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむ…
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「スイッチOTC医薬品」は薬剤師による服薬サポートが大切
昨年12月20日、厚生労働省は、薬事審議会「要指導・一般用医薬品部会」を開き、胃酸の分泌を抑制する成分であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)3成分の要指導医薬品への指定を承認した──といったニュースが…
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「針刺し事故」を起こさないために患者側も注意が必要
先日、糖尿病の治療でインスリンの自己注射をされている患者さんに「注射針の廃棄」について質問されました。インスリンの注射針は多くの場合、調剤された病院や保険薬局で回収しています。ですので、廃棄の際には…
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HPVワクチンの無料接種期間が1年延長される対象者の条件は?
ヒトパピローマウイルス(HPV)の予防接種を公費(無料)で受けられる「キャッチアップ接種」について、2026(令和8)年3月まで1年間の延長が決定しました。ただし、25年3月末までに最低1回の接種を…
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中国で流行中のヒトメタニューモウイルス感染症…治療薬がなく感染対策が重要
WHO(世界保健機関)は1月7日、北半球での呼吸器系の感染症の流行に関する報告を公表し、熱や咳などの症状が出る「ヒトメタニューモウイルス感染症」について、「中国の発表データでは、ここ数週間の間に急性…
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ジェネリックのさらなる拡大で名称が似通った薬が増えてくる
2024年10月から長期収載品の選定療養制度が始まりました。これは、「広く使われているジェネリック医薬品があるにもかかわらず、先発医薬品を希望する場合、その差額の4分の1は患者さんご自身でお支払いく…
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「リンゴ病」が急速に流行中…治療薬はなく妊婦はとりわけ注意
2019年を最後に流行が確認されていなかった「伝染性紅斑」が急増しています。伝染性紅斑は小児を中心に見られるヒトパルボウイルスB19による流行性の感染症です。両頬がリンゴのように赤くなることから「リ…
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推奨されている「Access抗菌薬」ってなんだ? 日本の使用比率は23%
本年度の診療報酬改定において、外来使用抗菌薬のうち「Access抗菌薬」を多く使っている医療機関は評価され、報酬が少し加算されることになりました。さて、Access抗菌薬とはいったいなんでしょうか?…
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感染症が流行中も…不必要な抗菌薬は薬剤耐性菌の発生を助長する
寒い季節となり、呼吸器の感染症が広がってきています。インフルエンザ、新型コロナ感染症に加え、今年はマイコプラズマ感染症も流行しています。 一方では、多くの感染症に用いるペニシリン系やセフェム…
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割ってはいけない薬が粉砕されているケースも…薬剤師にも責任がある
先日、とある学会で「粉砕不可の徐放錠を半分に割った時にどのように溶けるかを調べた」という発表がありました。徐放錠とは、薬の成分がゆっくり溶け出し、効果が長く続くように加工された錠剤のことです。 …
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薬をお湯に溶かしてから服用する「簡易懸濁法」の注意点
前回、医薬品の粉砕にはさまざまな問題が生じるとお話ししました。その解決策のひとつが「簡易懸濁法」です。錠剤やカプセルを粉砕せずに投与時にそのままお湯に入れて崩壊、懸濁を待って投与する方法です。 …