韓国で突然起こった“大統領クーデター”で再注目…日本の改憲派が訴える「緊急事態条項」の是非
突然流れた“大統領クーデター”のニュースに世界が驚いた。
韓国の尹錫悦大統領が3日夜に緊急談話を発表。「従北勢力を一挙に撲滅する」として、1987年の民主化後初となる「非常戒厳」を宣言したからだ。これを受け、戒厳司令部は国会や政党などの政治活動を禁止し、言論と出版が同司令部の統制を受けるとの布告を発表。
金龍顕国防相は軍に警戒、態勢強化を指示し、首都ソウルの国会に軍が進入すると、国会前は「尹錫悦を逮捕せよ」と怒声を上げる一般市民らと、銃を構えて武装した軍兵士が向き合う“一触即発”の異様な光景が繰り広げられた。
結局、戒厳令から6時間ほど経った4日未明、韓国国会は本会議で解除を求める決議案を可決。尹大統領はテレビ中継を通じて解除を発表したのだが、独裁的な軍事政権下であればともかく、近代民主主義国家を標榜する韓国でこうした事案が発生したのは衝撃だろう。
今回の突発事態について軍に対して冷静さを訴えていたのが文在寅前大統領だ。
尹大統領の非常戒厳で全軍に警戒と態勢強化の指示が出たことに対し、SNSで《軍は反憲法的な戒厳宣言に動員されてはならない》《軍は国民に対抗する過ちを二度と犯してはならない》などと投稿。《反憲法的な戒厳宣言が招く安保危機に備えることが今この時期の軍の任務であり、使命であることを肝に銘じてほしい》とも主張していた。
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