マー君100億円争奪戦 メジャー14球団参戦のカラクリ
田中自身にこのチームでなければ行かないという強い志望球団がない事情も、争奪戦の激しさに拍車をかけている。
■ケタ違いの放映権料
それにしてもメジャー球団の多くが100億円近いカネを捻出できるのは、日本のプロ野球界と大違い。何かカラクリでもあるのか。
メジャーの球場の年間予約席は高額なものから売れていくといわれているし、球場命名権(ネーミングライツ)の金額も契約期間の長さも日本とはケタ違い。彼我の差はさまざまだが、「大きいのは地元テレビ局からの放映権収入ですよ」と前出の鈴村氏がこう言った。
「全国ネットやオールスター、ワールドシリーズなどの放映権料は大リーグ機構(MLB)が一括管理しますが、ローカルは別。アメリカではケーブルテレビが普及、大都市では90%以上といわれています。各球団とも地元のテレビ局に主催試合の放映権を売り、これが年間15億~20億円、多いところでは100億円くらいになるのです」
大リーグには所得分配制度がある。どんなに稼いでも、収入の一部を大リーグ機構に納めなければならない。テレビ局から高い放映権料を取ったとしても、課税額が増えるだけ。それなら自前で別会社のテレビ局をつくって、球団の収入に計上される放映権料を安く抑えようと考えたのがヤンキースだ。有料ケーブルテレビ「YES」は年間200億円近い収入があった年もあるといわれる。