10.19第1試合に勝ち切りイケイケムードだったが…「阪急の身売り」報道が水を差した
試合直後のベンチはお祭り騒ぎ。「これはもう次も勝てる!」「いけるぞ!」。そんな言葉がロッカールームのあちこちで飛び交った。超満員に膨れ上がったスタンドもイケイケムード。こういう劇的な勝ち方をした後の近鉄は強い。流れは間違いなく我々にあった。
しかし、2試合目が始まるまでの23分間にとんでもないニュースが飛び込んできた。阪急の身売りだ。
「えっ! あの阪急が身売り!?」
「マジかよ……」
この年の9月、南海の身売りが決定。その約1カ月後に今度は阪急の身売りが決まった。関西の電鉄会社が立て続けに球団を譲渡した。近鉄もまた、関西の電鉄会社だ。
「次は……ひょっとして……ウチ!?」
あの強い阪急を買ったのはどこだとか、近鉄は大丈夫かとか、選手たちが口々にそんなことを話しているうちに午後6時44分、2試合目がスタート。いい勝ち方をして優勝に向けて風船のように膨らんでいたムードに、阪急の身売りが水を差したことは否定できない。