五木寛之 流されゆく日々
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連載10929回 自分のことは棚にあげて <2>
(昨日のつづき) 私はこれまで積極的に人にアドバイスをしたことがない。 人はひとりひとりちがう。育ってきた環境もちがえば、性格も、能力もちがう。すべての人に共通する生き方などない。それぞれあた…
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連載10928回 自分のことは棚にあげて <1>
経済学の用語にビッグ・プッシュという言葉があるそうだ。予想もしなかった大きな力がはたらいて、それまでの物の考え方や手段が一挙に役に立たなくなることを言うらしい。 その一方で、未来への新しい展望が…
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連載10927回 人が歩くということ <5>
(昨日のつづき) コロナ感染者の数がふたたび増えつつある。以前は高齢者が目立ったのに、このところ若い世代の感染者が増えてきているのが気になることだ。 「高齢者のかたたちは感染をおそれて外へ出ない…
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連載10926回 人が歩くということ <4>
このところコロナ騒ぎで外出する機会がほとんどない。 不要不急の外出は控えなければ、という心理的プレッシャーで、つい部屋にこもりがちなのだ。結果として一日の歩行量がはなはだしく低下する。 ため…
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連載10925回 人が歩くということ <3>
(昨日のつづき) これまで何度も書いてきたことだが、私は本格的な扁平足である。いわゆるベタ足だ。 辞書を引くとこれが大変なことになっている。広辞苑によればこういう事らしい。 <運動などによる…
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連載10924回 人が歩くということ <2>
(昨日のつづき) ホモ・サピエンスと人間を規定したのは、スウェーデンの生物学者リンネだという。 これに対して、ホモ・モーベンスという言葉が出てきたのは、いつ頃のことだろう。 ホモ・サピエン…
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連載10923回 人が歩くということ <1>
最近、杖をついて歩くようになった。 なんとなく気が引けるところがあるが、仕方がない。 数年前に変形性股関節症と診断されて、その後これという打つ手がないままに日が過ぎた。 「プールで歩行トレ…
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連載10922回 続・新聞記事落ち穂拾い <5>
(昨日のつづき) きょうは特別にこれといったニュースがない。見る人によっては重大ニュースが目白押しかもしれないが、私の個人的関心からは遠く離れた記事ばかりである。テレビでは知ることのできないような…
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連載10921回 続・新聞記事落ち穂拾い <4>
(昨日のつづき) 数日、ぐずついた天候が続いたが、きょうは梅雨どきにはめずらしい好天だ。青空に小学生が描いたような雲が浮かんで、なんとなく夏休み気分。 コロナ以後、じつにさまざまなカタカナ文字…
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連載10920回 続・新聞記事落ち穂拾い <3>
(昨日のつづき) きょうの新聞は、各紙とも特に目立ったニュースがない。そういう日があるものなのだ。 新型コロナのパンデミックは、予想どおりブラジルで爆発的に拡大している。ペルーその他の国々も目…
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連載10919回 続・新聞記事落ち穂拾い <2>
(昨日のつづき) 一種類の新聞を長く読み続けるのは問題があるのではないか、と思うようになった。 できればいろんな新聞を交互に読むのがいいと思う。もっといいのは、すべての新聞を同時に読むことだ。…
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連10918回 続・新聞の落穂拾い <1>
私は川柳のファンである。最近は「川柳」のことを「カワヤギ」と読むヤングメンもいるらしい。 <親鸞をオヤドリと読む若い人> というのは私の勝手な作品だが、最近出した『他力』(新書版)も、「タリョ…
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連載10917回 コロナの梅雨がきた <5>
(昨日のつづき) きのうに続いて再びチップのことを書く。『世界発2020』のチップに関する記事からの引用である。 ワシントンでは、7月から一般労働者の時給が、14ドルになるという。しかしチップ…
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連載10916回 コロナの梅雨がきた <4>
(昨日のつづき) 快晴とはいえないが、今日はいい天気だ。6月の風がコロナの街を吹き抜けていく。 気分を変えて、どうでもいい事を書く。 チップの話だ。 海外旅行にでかけて、頭を悩ますこと…
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連載10915回 コロナの梅雨がきた <3>
(昨日のつづき) 前にも書いたと思うが、近頃やけに数字が気になるようになってきた。昔から数学が苦手で、高校時代も幾何以外はほとんど合格点がとれなかったのに、この年になってどういう風の吹き回しだろう…
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連載10914回 コロナの梅雨がきた <2>
(昨日のつづき) コロナウイルスの南進については、以前からずっと言い続けてきた。気になっていたのは、インドとブラジルである。 ブラジルはじわじわと感染者・死者を増やしてきて、ついに世界第2位の…
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連載10913回 コロナの梅雨がきた <1>
きょうも雨。梅雨入りして以来、約束したかのように雨の日が続く。 梅雨は、また黴雨とも書く。バイキンの黴だ。「黴」はカビの意であるらしい。いろんなものにカビが生えるジメジメした季節ということだろう…
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連載10912回 小人閑居して妄想す <5>
(昨日のつづき) いよいよ梅雨入りである。午前中は陽の光もさしていたが、午後から生暖かい風が吹き、やがて雨になった。当分傘と縁の切れない日が続きそうだ。 金沢では今年いちばんの豪雨だった由。 …
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連載10911回 小人閑居して妄想す <4>
(昨日のつづき) このところ新聞の広告で目立つのは、腰、膝、脚など下半身の痛みを軽くするという薬品の宣伝である。 新聞の一ページをまるまる使った大広告が多い。あれだけの広告を出しても引き合うと…
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連載10910回 小人閑居して妄想す <3>
(昨日のつづき) 深夜までやっていた店が、次々と終業時間を早めている。ファストフードのチェーン店なども終夜営業をやめるらしい。 新宿の歌舞伎町などで感染者が出ているところから、いわゆる「夜のお…