テレビ番組の裏側を楽しむ本特集

公開日: 更新日:

「人気海外ドラマの法則21」ニール・ランドー著、シカ・マッケンジー訳

 多チャンネル化に加え、端末や動画配信サービスの充実で、テレビの楽しみ方も多様化。さまざまな番組がオンデマンドで好きな時間にどんな場所でも見られるようになった。ということで、今週は人気海外ドラマの話題を中心にテレビ関連本を紹介しよう。

 視聴者を夢中にさせるドラマはどのように作られるのか。アメリカのドラマ制作の舞台裏を紹介しながら「ヒットし続けるコンテンツ」の作り方を解説したテキスト。

 アメリカのTVドラマ業界では「ショーランナー」がすべてを動かす。ショーランナーとは、複数の脚本家で構成されるチームのまとめ役で、企画や新人の脚本を放送ネットワークに売り込み(ピッチ)、採用されたら監修者としてシリーズ全体をまとめていく。 

 まずは一流のショーランナーのピッチとは、どのようなものかを紹介。売り込み先を決める事前の情報収集からプレゼンテーションの段取りまでその手の内を明かす。

 企画が採用されたら、いよいよ本格的に脚本を練り上げる作業に入る。まずは「アリーナ」と呼ばれる舞台設定が行われる。著者がかつて証人保護プログラムを題材にしたドラマを書く際に、知識ゼロから調べた体験を語りながら、アリーナをどう構築し、アイデアを膨らませていくか伝授。さらに、2つのアリーナが交錯する「ワンス・アポン・ア・タイム」などヒットドラマのアリーナの特色を解説する。

 その他、ドラマヒットの鍵ともいえる視聴者を登場人物に感情移入させるにはどうするか、人物が危機や驚きに遭遇したところで物語を中断し、続きを見たくなるようにさせる「クリフハンガー」のテクニックなどを伝授。

 最長寿番組「ザ・シンプソンズ」や「LOST」など人気ドラマのエピソードや一流ショーランナーへのインタビューも添えられ、ドラマファン必見。ドラマに限らずコンテンツ作りの教科書としても読める充実の内容だ。(フィルムアート社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?