異界話から怖い話まで 不思議ミステリー本
「怖い村の話」都市ボーイズ監修
理屈では説明できないような出来事に好奇心をくすぐられたことはないだろうか。今回は、そんな世界をのぞいてみたいアナタにおすすめの不思議ミステリー本をご紹介。実在する地に残る怖い話、日常の中の不思議現象、この世のものとは思えない神社、江戸時代の異界、世界のミステリーの5冊からお好きな不思議をお試しあれ。
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事件現場や奇妙な因習の残る村など、全国に存在する「いわくつきの地」に眠る話に興味があったら、手にとってほしいのがこの本。陰謀論や裏社会に詳しい岸本誠氏と、稲川淳二の怪談グランプリで優勝歴を持つ早瀬康広氏の放送作家ユニット「都市ボーイズ」が収集した、とっておきの話が楽しめる。
例えば、サティアンで有名になった上九一色村の話では、子どもの頃、母親がオウム真理教に勧誘され自分も施設に連れてこられた女性が、そこで目撃したリンチ殺害場面の記憶から殺された信者の霊を見て、友人と一緒に供養に村に行った話の顛末が語られる。ほかにも、日本国憲法が通じない犬鳴村、梅毒で死んだ遊女の怨念が残る元吉原など、普段は何げない顔で実在しているからこそゾクリとする話が収録されている。
(宝島社 1320円)
「大江戸奇怪草子」花房孝典著
狐や狸が人を化かし、鬼やら疫病神やらの伝説が残る江戸時代の日本。本書は、江戸時代に著された随筆や風聞控えなどの文献から、そうした異界に関する伝聞を集めた書。当時の人々が奇異に思いつつも、実際に起きたこととして記録してきた数々の不思議話が収録されている。
東隋舎が著した「古今雑談思出草紙」には、ある夜、下女に明かりを持たせて厠に入った商人が忽然と消えてしまったという話が記されている。手を尽くして捜しても見つからず、行方不明になった日を命日としてその商人の妻が婿をとって暮らし始めたが、行方不明になってちょうど20年目に何事もなかったかのように厠からいなくなったときの姿で出現したというのだから驚く。
江戸に流布した一見突拍子もない奇怪な話の数々が興味深い。
(天夢人 1760円)
「異界神社」本田不二雄著
日本の神社の中には、近寄りがたい神々しい雰囲気を醸し出す特別な神社がある。本書は、観光地化した神社とは一線を画す、奥の院ともいえる神社を紹介した書だ。
静岡県南伊豆町吉田にある白鳥神社は、樹木の幹が踊り狂うかのようにうねったビャクシンの大樹が門番のように出迎える、不可思議な雰囲気の神社。入り口を囲むうっそうとした樹木に吸い込まれるように続く階段を上ると、不自然な場に積み上げられた石垣の上に社殿が載り、水をすくう柄杓のすべてには穴があけてある。これには、安産祈願と海坊主を避けるための海難よけの呪術の意味があるらしい。
ほかにも、朱の鳥居が延々と続く青森の高山稲荷神社、日本最古の聖なる山に位置する茨城の御岩神社など、著者撮影の迫力ある写真を通してご参拝あれ。
(駒草出版 1980円)
「ふしぎ現象事典」『 ふしぎ現象』研究会編
「見ちゃダメ!」といわれると見たくなる、テストの前日になると部屋の掃除がしたくなるなど、身の回りの不思議な現象の名称や由来を紹介しているのがこの本。「学校・勉強でのふしぎ編」「友だちのふしぎ編」「家でのふしぎ編」「お出かけでのふしぎ編」「体のふしぎ編」の5章構成で、日常に潜む不思議を掘り起こしている。
ちなみに前述のダメといわれると余計に見たくなる現象には、カリギュラ現象という名があり、これは過激な内容で公開禁止になった映画「カリギュラ」が大ヒットしたことに由来する。また、テストの前日に掃除をしたくなる現象は、自分を不利な状況に追い込むことから「セルフ・ハンディキャッピング」という名がついている。
今大人気の絵本作家・ヨシタケシンスケのイラストも秀逸。
(マイクロマガジン社 1100円)
「世界のミステリーと怪異366」朝里樹監修
古代文明や真偽不明の都市伝説、未確認動物や人知を超えた自然の神秘など、これらの不思議な話にロマンを感じる人も多いはず。そんな世界の不思議話を366話掲載しているのが本書だ。
たとえば米国に実在する古い屋敷「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」は、ライフル銃のビジネスで莫大な財産を手に入れた男の妻が生涯増築を続けた不思議な建物。銃によって命を落とした人々の霊を恐れ、昼夜休まず増築を続けた結果、160部屋がつながった巨大な住宅になったという話が紹介されている。
ほかにも宇宙人に肩をたたかれた小学生が登場する「甲府事件」、1500年たっても錆びないインドの「デリーの錆びない鉄柱」、空から降るはずのないものが降ってくる「ファフロツキーズ現象」など、不思議なテーマが満載だ。
(徳間書店 2695円)