“鈍器?”と話題 分厚くて重い知識の宝庫大全本特集
「超ライティング大全」東香名子著
ある物事について知りたいと思ったとき、お薦めしたいのが「大全本」だ。何でもネットで検索できる時代だが、その物事に関する事項を漏れなく集めて編集した大全本なら、濃密な情報に触れることができる。今回は、読書や習慣、リテラシーなどに関する5冊の大全本をピックアップ。重くて分厚い分、読み応えも満点だ。
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個人ブログやツイッターはもちろん、企業紹介や商品PRにもネットは欠かせない時代。そこで本書では、ネットで“バズった”1万491本の記事を徹底研究。ウェブライティングの基本と文章力の磨き方を伝授している。
書きたい熱意にあふれていると、ひとつの記事に多くの情報を詰め込みがちになる。しかし、ウェブライティングの鉄則は「1トピック1メッセージ」と心得たい。情報が多すぎると、読者は途端に読む気をなくしてしまうためだ。
例えば、雰囲気のいい料理屋でうまい日本酒に出合ったとする。そのときのことをSNSで伝える場合、内装や接客の素晴らしさ、料理長の人柄、一緒に行った知人と会話が弾んだことなども書きたくなる。しかし、これはご法度なのだ。そこで、取り上げたいテーマを1つに絞り、仮タイトルを付けておく。「うまい日本酒」としておけば、書き手も迷わず、読み手に伝わりやすい文章となるのだ。
発信力を磨きたい人は必読だ。
(プレジデント社 1760円)
「習慣超大全」BJ・フォッグ著 須川綾子訳
ベッドに入ってもスマホが気になり、ツイッターやゲームがやめられない。スタンフォード大学行動デザイン研究所所長の著者によると、習慣の変化に“やる気”は無関係で、アプローチ法さえ分かれば誰でも行動は変えられるという。
ある行動が起きるには、「モチベーション」「能力」「きっかけ」の3要素が必要だ。SNSで発信した情報に「いいね」をもらったときのうれしさは格別であるため、モチベーションを低下させることは難しい。ツイッターやゲームアプリをすべて削除して能力をなくせばスマホを操作しなくなるだろうが、これは現実的ではない。
ならば、スマホをベッドに持ち込まず、別の部屋に置いて寝ればいい。スマホで目覚ましをかけているなら、新しく目覚まし時計を用意しよう。こうしてスマホに触れるきっかけをなくしてやれば、悪い習慣は変えられると本書。
行動をコントロールする方法が分かる、世界的ベストセラーだ。
(ダイヤモンド社 2310円)
「読書大全」堀内勉著
名だたるビジネスリーダーには読書家が多い。ビル・ゲイツは年間50冊以上の本を読み、自身のブログでも毎年数冊の推薦図書を公開している。他にも、孫正義やマーク・ザッカーバーグらも読書家として知られている。
超多忙な実業家が、なぜ時間を割いて読書をするのか。
それは単純に知識を得るためではなく、人間としての基礎体力や洞察力を高めておくためだと語る著者は、日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て森ビル取締役専務執行役員を務めた人物。自身の読書体験と共に、ビジネスマンに薦めたい200冊を紹介している。
例えば、ピーター・ドラッカーの「『経済人』の終わり」。ファシズム台頭の社会的背景を分析した社会制度に関する代表作で、経済至上主義からの脱却を説いた、ドラッカーの思想の原点が分かる一冊だ。
宗教や政治、歴史に芸術などのジャンルごとにお薦めを紹介。ビジネスマンの読書の羅針盤となりそうだ。
(日経BP 3080円)
「行動最適化大全」樺沢紫苑著
日常生活の悩みの9割の解決法を学ぶことができる本書。その方法は、行動を最適化すること。精神科医である著者が、最適な行動とその根拠を教えてくれる。
朝起きるのが苦手という悩みがあるなら、カーテンを開けて寝るようにするのが最適な行動だという。人間の覚醒にはセロトニンという脳内物質が関わっており、太陽の光を浴びると分泌を開始する。そのためカーテンを開けて寝れば、日の出とともに太陽の光が入り、自然に起床ができるというわけ。カーテンは全開でなく、15センチほど開けて寝るだけで十分に効果はあるそうだ。
コミュニケーションが苦手という人は、話す内容に悩むのではなく、どのように話すかを工夫するのが最適な行動だ。人間は、言葉の意味内容よりも非言語情報、つまり表情や視線に影響される。そのため、笑顔やアイコンタクトを意識するだけで、コミュニケーションは格段に円滑になるのだ。
(KADOKAWA 1540円)
「超リテラシー大全」サンクチュアリ出版編
スマホやパソコンに触れた瞬間に、あらゆる情報が飛び込んでくる現代。便利と言える一方で、情報に振り回され、信じるべきものが分からなくなる時代でもある。
そんな悩める現代人を助けるのが、さまざまな分野の専門家が監修したリテラシーを集めた本書。専門家なら常識の、全88項目を解説している。
例えば、家選びのリテラシー。不動産のプロが「住みづらいから選ばない物件」のひとつに、マンションの最上階がある。部屋が暑くなりすぎて他の階より室温が2~3度高くなるためだ。
法律のプロがおすすめしないのは、民事裁判だ。相手が判決に従わなければ強制執行で差し押さえなども行われるメリットがあるが、時間がかかりすぎてストレスが大きいというデメリットもある。2年以上の長期にわたるものもあり、費用も数百万円以上かかることがある。民事裁判の代わりとなる「あっせん・仲裁」などの方法も紹介している。
IT、お金、医療など、知っておきたいリテラシーが満載だ。
(サンクチュアリ出版 1870円)