「ロボットと人間」石黒浩著
ロボット学の世界的権威である著者によると、ロボット工学を研究する目的には、人間のようなロボットを開発し、人間の役に立たせるという工学的な目的と、その開発を通して人間について調べるという科学的な目的の2つがあるという。例えば「意識」とは何かという問いの解明にも、ロボットを用いることができるそうだ。
本書は、そうしたロボット研究の科学的側面と技術的側面、すなわち人間に関する深い疑問に答える側面と、世の役に立つ側面の両方について、これまでの研究の紹介をしながら、ロボットと人間の関係について重ねてきた思考を明かすロボット論。
氏が開発した遠隔操作アンドロイドをはじめ、さまざまなロボットの最新事情を解説しながら、人間にとっての自律や対話、進化、生命とは何かを問う。
(岩波書店 1034円)