「論破という病」倉本圭造著
「論破という病」倉本圭造著
SNSには、あらゆる罵り合いがあふれ、いかに華麗なレトリックで「敵」を攻撃し、小さな世界の英雄になるかだけしか眼中にない「論破という病」が蔓延している。
この「論破という病」を乗り越えるためには、「我々善人たちの敵」を徹底的に打ち倒しさえすれば全てがうまくいく、という「20世紀型の妄想」から目を覚ます必要があると著者は指摘する。不毛な議論から脱却し、「敵」を論破することではなく、協力し合って具体的な問題解決を行うことこそが、令和の議論の目的となるべきだと。
その際に大切なのは、著者が「メタ正義感覚」と呼ぶ、相手が持つ正義も自分が持つ正義も両方尊重する世界観だという。
論破という病を克服し、放置されたままの問題を解決する方途を示す現代社会論。 (中央公論新社 1210円)