「古墳とはなにか」松木武彦著
「古墳とはなにか」松木武彦著
日本には巨大な前方後円墳から小さな塚まで、約16万基もの古墳がある。本書は、認知考古学の視座から、古墳の成立から発展、そして衰退までを考察したテキスト。
古墳の出現は紀元後3世紀。それ以前の縄文から弥生時代の人々が、どのような墓をつくっていたのかをまず振り返る。弥生時代も墳丘の大型化や埋葬施設の入念化、副葬品の増加が見られるが、その延長線上に古墳が登場したわけでない。その大きな違いは、弥生の墓は親族集団の墓であり、古墳は個人のための墓で、葬られる人は「神格化」されているという。
さらに古墳は、なぜ前方後円墳のあの形になったのか、当時の人の目にはどう映り、その心をどう動かしたのかなど、人の心の動きの分析を通して迫っていく。
(KADOKAWA 1144円)