「心眼」相場英雄著
「心眼」相場英雄著
念願の警視庁本部勤務となった片桐文雄は、指名手配犯を見つける「見当たり捜査班」に配属された。渡された600人分の顔写真を頭にインプットしたものの、歌舞伎町で目の前を通る人に該当者はいない。
地面に座り込む若者グループに白髪の中年男が話しかけていた。夕方、警視庁に戻ると、あの白髪の男が入ってきた。先輩の稲本警部補だった。稲本が操作する専用端末の画面に、19年前の強盗殺人犯の劉高見の顔が映し出されると、稲本は「警視庁見当たり捜査班が検挙」と打ち込んだ。稲本は直接担当していない事件の犯人を、顔写真1枚で検挙したのだ。だが、新任の捜査1課長が見当たり捜査班不要論をぶち上げる。
IT化のなか、アナログな見当たり捜査にこだわる刑事を描く。
(実業之日本社 1980円)