興収イマイチも…本格ヤクザ映画「孤狼の血」を評論家絶賛
春の邦画でピカイチの話題作といえば「孤狼の血」(白石和彌監督)だが、客入りはピカイチとは言い難いようで――。
「初登場3位でオープニング2日間の興行収入は1億4000万円超。最終で20億円が見込めるとの報道もあったが、10億円超えが目先の目標になる」(映画興行関係者)
製作・配給の東映は、広島でのオールロケにこだわり、キャスティングも主演の役所広司、松坂桃李、江口洋介らそうそうたる面々を集めた。テレビスポットも積極的に打ち、製作費、宣伝費ともに惜しげもなくかけた。となれば、同じヤクザ映画で最終15億円を突破した「アウトレイジ 最終章」(2017年)と比べても、10億では物足りないだろう。
なぜ伸び悩むのか。映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、「中高年の年配層からの支持がアツい作品。昨今の映画界に蔓延する若者に媚びたかのようなヤワな表現やコンプライアンスの自主規制を取り払おうという製作陣の気概は大いに評価したい。が、ヤクザ映画のテイストを前面に押し出す宣伝は直球過ぎた感がある。ヒット作はジャンルにかかわらず、幅広い世代からの支持が必要。そもそもバイオレンスやアウトローの世界観は漫画原作の青春モノを見慣れた若い層は受け入れ難く、うまく集客につながっていないのではないか」と分析する。