自転車で160キロ完走 清志郎からもらった最も大きなプレゼント
ツアー先のホテルでメンバーやスタッフの飲み物がなくなると、「遠慮せずに飲みたまえ」と言って部屋の冷蔵庫からビールを取り出してきた清志郎。評伝「GOTTA!忌野清志郎」(連野城太郎著・角川文庫)の中で本人は、「友だちとか来ても、ビールとか出してもてなせるようになったしさ。やっと人並みになれたってことだよね」とうれしそうに語っている。
80年に発売されたアルバム「RHAPSODY・ラプソディー」(「雨あがりの夜空に」など収録)がヒットした頃の心境だ。高井戸の風呂なし・トイレ共同の「松風荘」から、明大前の風呂付きの部屋に引っ越したのもこの後。坂を駆け上がるようにRCサクセションはブレークした。
長い下積み生活を思えば、ビールで友人をもてなすということには特別な思いが込められているのだろう。
清志郎が50歳になって夢中になったのが自転車だった。東京~鹿児島間「ツール・ド・鹿児島」、51歳で松尾芭蕉ゆかりの地を巡る東京・深川~秋田・象潟間「ツール・ド・奥の細道」など、本格的な長距離を走破している。