2人っきりの時は「九ちゃん」と。それがくすぐったくて…
師匠であり祖父でもある先代小さんは、花緑をどんな目で見ていたのだろうか。
「入門当初は師匠の目でした。楽屋で僕が他の師匠の着物を畳んでいると、小さんがじっと見てるんです。ちゃんと畳めてるかどうかを。一度『遅いっ』って怒られたこともありました。二つ目時代も師匠の目でしたね。それが祖父の目になったのは真打ちに昇進してしばらく経ってからですか。2人っきりの時に『九ちゃん』って呼ばれた。子供の頃に呼んでたように。ただし、他に誰かいる時はそう呼ばない。あくまでも2人っきりの時だけ。亡くなる7年前に脳梗塞で倒れたんですが、それから後はずっと『九ちゃん』でした。僕はそれがくすぐったくて、心の中では『頼むから花緑って呼んでくれ』と思ってました」