東京シティ・バレエ団が提案 「ジゼル」を落語にしたワケ
花緑はシェークスピア作品を落語化した後、バレエ「ジゼル」を落語にした。
「『おさよ』という題にしたんです。江戸物なんですが、今風のギャグが飛び交うナンセンス落語で、おしまいのほうは、ちょっとホロッとするテイストになり、収まり良くオチまでたどり着きました。それはもともと『ジゼル』がいい人情噺だからなんです。上演後、しばらくたって、東京シティ・バレエ団から、『うちのバレエ団のジゼルと花緑さんのおさよを一緒にやりませんか』というムチャな申し出があったんです」
バレエと落語のコラボレーションは「世界初」ということで、挑戦してみる気になった。
「その話をバレエダンサーの兄(小林十市)にしたら爆笑してました。落語とバレエのコラボなんて考えられなかったんでしょうね。でも実際にやってみたらうまくいきました。まず僕が出て、高座で物語のあらすじを語るんです。バレエファンは基本的に踊りを見に来てますから、意外とジゼルのストーリーを知らないので、僕の語りによってそれがわかる。落語ファンは初めて見るバレエの格調の高さに驚きつつ踊りの素晴らしさに魅了される。相乗効果が生まれたわけです」