平成最後の紅白は迷走…“目玉なし”で視聴率最低の大ピンチ
だからこそ会見終了後に行われた制作統括への囲み取材では、報道陣から起用理由や企画の概要などの質問が相次いだが、「今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出の3点から総合的に判断した」(渋谷義人チーフプロデューサー)を繰り返すばかり。メンバーだった山口達也(46)が不祥事を起こした紅白常連組のTOKIOや、原爆Tシャツ騒動の渦中にあるBTSの“落選”理由についても、「選考過程についてはオファーの有無も申し上げられない」「交渉事なのでお答えできない」とのらりくらり。ほぼゼロ回答に終始し「今後、視聴者の方から要望の多いアーティストへの出演依頼は継続的に行っていく」と締めくくった。
音楽評論家の富澤一誠氏は「NHKの迷走がはっきり出たラインアップ」とこう続ける。
「最近、NHKののど自慢では、演歌ではなかなか難しいのに、コブクロや絢香、AIなどを歌うと鐘が鳴る、若者に媚びた感がありますが、まさにその延長といった感じです。演歌勢は妥当な線だとしても、ポップスは説明が必要な歌手ばかり。特別企画も何をもって特別なのか、椎名林檎のコラボは昨年も同じ。白組のYOSHIKIとHYDEを出場歌手の1組として数えているのと差別化が図れていない。ジャパンカルチャーをテーマとした企画モノにAqoursと刀剣男士が選ばれたのもNHKが言うところの“誰もが知っている”基準を満たしているとは言えず、マニアックすぎる。説明しないと分からない人選は迷走以外の何物でもないでしょう」
2部制となった1989年以前も含め、記録の残る62年(第13回)以降、史上最低の視聴率39・2%(後半)を叩いたのは3年前の第66回であった。視聴率も内容も含め、このまま隠し玉もないのであれば、平成ラストの紅白歌合戦、これで打ち切りのほうがいっそ潔い。