異例ずくめの紅白やネット中心の芸能報道に見る時代の変化
平成最後の年末年始もさしたる変化はなかった中、話題を独占したのはNHK「紅白歌合戦」だった。ノルマといわれている視聴率40%超を達成したが、高視聴率の立役者は北島三郎、松任谷由実、そしてサザンオールスターズ。昭和を代表する歌手が昭和のヒット曲を披露して話題の中心だったのに、「平成最後」というのも皮肉だが、工夫を凝らした異例尽くしの演出もあった。特にサザン。従来の紅白のトリで締めず、番組の大トリの形で締めたのはサザン。それもライブ会場からの中継ではなく、NHKの会場で2曲を披露。出演歌手と会場が一体になって盛り上がった。老若男女問わず世代を超えて支持される国民的なバンド・サザンの人気の凄さが再認識された。おかげで、紅白出場歌手は誰がどんなふうに歌ったのかも頭の片隅に追いやられた感もある。
辛うじて印象的だったのは、減少の一途をたどる演歌歌手にあって貫禄で紅組のトリを務めた石川さゆり。今年は定番の「天城越え」だったが、箔を付けるかのようにギタリストの布袋寅泰のバック演奏を付け異色のジョイントで熱唱。これも新たな試みとはいえ、「紅白」らしさは平成の終わりと共に消えていくことを物語っているようでもあった。