女優・五大路子さんは芸能活動50周年、座長を務める横浜夢座は旗揚げ25年
人生で一番大切なのは“ときめき”
一躍国民的人気女優となった五大さんは、テレビドラマ「水戸黄門」で共演した大和田伸也と結婚し、2人で新劇団をつくるなど順風満帆だったが、1989年の帝国劇場公演の稽古中に右膝を痛め、舞台を降板。療養生活に入った。
「膝が曲がらなくなり、原因不明だったこともあって、このまま役者生命が絶たれるかもしれないという不安でいっぱいでした」
リハビリの甲斐あってほどなく回復したが、五大さんが思ったのは「私の代役は無数にいる。ならば私にしかできないことをやろう」と、以前からの夢だった「横浜からの演劇発信」に着手した。日ノ出町出身の劇作家・長谷川伸の「ある市井の徒」を一人芝居にした後、1999年に横浜夢座を旗揚げ。ライフワークの「横浜ローザ」で地域文化功労者表彰を受賞するなど、功績が認められた。
「舞台は一人ではできない。同じ夢を共有する仲間たちがいて初めて実現できるんです。私はそんな仲間に恵まれました。それと、人生で大切なのは“ときめき”。胸の高鳴りです。メリーさんを芝居にしたのも彼女の生き方にときめきを感じたから。ときめきがなくなったらオシマイ。先日亡くなった一人芝居の先輩、坂本長利さんは94歳まで『土佐源氏』を演じましたが、私も90歳だろうが体の利く限り、私自身もお客さまも共にときめくような舞台を続けたいと思います」
(取材・文=山田勝仁)
◆横浜夢座「富貴楼お倉」は9月13~16日、KAAT(神奈川芸術劇場)大スタジオ。作=小松與志子、演出・潤色=西川信廣。共演=原康義、大沢健、松本梨香ほか。
◆新著「花のように、風のように、海のように」(横浜夢座)発売中。