【食道がんの鏡視下手術】 昭和大学病院消化器・一般外科(東京・品川区)
「手術数が多く、慣れている施設でも手術死亡率は1~2%ですが、当科は直近10年で見てもゼロです。肺炎合併率は3%以下(全国平均20%前後)、縫合不全は1・3%(同15%前後)。5年生存率は開胸・開腹手術と変わりません」
また、開胸・開腹手術は75歳を越えると体の負担を考え適用にならないことが多いが、胸腔鏡・腹腔鏡併用は80代でも可能。同科の最高齢患者は93歳だという。
鏡視下手術のデメリットは、医師の技術の習得が難しい点。患者は施設、医師選びを慎重にする必要がある。他施設でも胸腔鏡・腹腔鏡併用は行われているが、胸腔鏡・開腹併用や開胸・腹腔鏡併用と並行して実施しているケースがほとんど。全症例を胸腔鏡・腹腔鏡併用で行っている施設は、同科を筆頭に全国でも2、3施設しかない。
「他のがんと違って、食道がん手術は施設によって技術の差が大きい。それは食道がんの罹患数が胃がんの6分の1程度しかなく、医師が手術の経験を積みにくいからです。食道がん手術は月間2例でも多い方で、年間50例以上あるのは全国20施設くらいに集中しています。手術数の多い施設ほど技量が高いのです」