著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

患者の半数は健康を脅かす重大な問題を医師に伝えていない

公開日: 更新日:

 医師の診察を受ける際、十分な患者情報が医療者に伝わらないと、適切なケアや支援を受けることができなくなってしまうことがあります。しかし、自身が抱えている重大な心身問題を、患者が医師へ積極的に提供しているかといえば、必ずしもそうではないかもしれません。

 そんな中、医師に対して健康を脅かす重大な問題を伝えていない人が、どの程度の割合で存在するのかを調査した論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの電子版に8月14日付で掲載されました。

 この研究では、18~79歳の米国人2011人(平均35・7歳、女性60・3%)が登録されたデータベース(①)と、50~91歳の米国人2499人(平均61歳、女性51%)が登録されたデータベース(②)を解析しています。研究対象者は、うつ病症状、自殺念慮、性的暴行、配偶者暴力(DV)について、積極的に医師に伝えているかどうかが調査されました。

 解析の結果、4つの健康を脅かす重大な問題のうち1つ以上を経験しているにもかかわらず、診察時に医師へ伝えていなかった人は、データベース(①)では47・5%、データベース(②)では40%に上りました。情報を伝えない主な理由は、「恥ずかしさ」が最も多く、2つのデータベースともに7割を超えていました。また、「批判的意見や説教をされたくない」「面倒なことを避けたい」という理由が2つのデータベースともに5割を超えるという結果でした。特に若年者や女性で情報提供を積極的にしない人が多いことも示されています。

 適切な医療サービスが提供できるよう、医療者は患者とのコミュニケーションのあり方を、いま一度振り返る必要があるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち