相次ぐ緊急地震速報 コロナ禍で巨大地震が来てしまったら

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3密の避難所で感染を防ぐ行動

 すでに日本はコロナで病院の病床や消防、医療関係者の数が足りない状況である。

 地震が起きたらどうすればいいのか? 正しい避難の方法を聞いた。

Q…そもそも避難所に出かけてもいいのか?

「避難所は過密の状態をつくりますので、可能な限り、在宅避難を検討してほしい。一方、川や海が氾濫の恐れがあったり、建物が倒壊している場合なら、避難が必要。その際、避難先に知人宅や宿泊施設も選択肢に入れてください」(東京都防災管理課担当者)

 地震に脆弱なエリアに住んでいる人は、今からどこに移動するか家族会議をしておきたい。

Q…避難所で“3密”を避けるなら?

 東京都を例にとると、学校などの避難所が2964カ所、福祉避難所が1397カ所、公園など屋外の避難場所は213カ所(2018年時点)ある。いずれも行動範囲内であるならば、どこを選ぶべきか。

「新型コロナの感染予防の観点から考えれば、最もリスクが少ないのは屋外のテントや車内。車の中にテント一式を積んでおいて、万が一の場合は、避難所(避難場所)周辺の敷地で野営することも感染を抑える意味ではいいかもしれません。体育館などの多くの人が仕切りなしで雑魚寝になってしまう環境が一番最悪です」(たけしファミリークリニックの北垣毅院長)

 ただし、野営の場合は土壌などに潜む細菌による「破傷風」や「レジオネラ症」、蚊やダニ媒介の「日本脳炎」「ツツガムシ病」などに気を付けたい。

Q…屋内避難所しかなかったら?

「段ボールやビニールシートなどで周囲と仕切りをつけるのは効果的で、調達できる分は準備するといいでしょう。仕切るものがなく、隣同士がかなり近い距離で寝る場合は、頭を同じ向きに寝ない、つまり自分の頭の横に相手の足がくるようにして、呼吸による感染を防ぐなどの工夫が必要です」(北垣毅院長)

 世田谷区の公表資料によると、若林・三軒茶屋地区の人口3万人に対し、避難所の収容人数は1400人程度。1人に対し1畳分のスペースしかない。避難者のトリアージや民間オフィスビルの活用も考えられる。

Q…避難所に必ず持っていくものは?

 避難所では新型コロナウイルスのみならず、ノロウイルスなど他の感染症も流行する危険性がある。16年4月の熊本地震、19年10月の台風19号の福島県いわき市の避難所でもノロウイルス感染症が発生している。

「避難所に到着したらまず手洗い場やアルコール手指消毒薬が利用できることを確認します。新型コロナウイルスを含めてあらゆる感染症の罹患を防ぐには、石鹸とマスクは忘れないようにしてください。体温計があればベストです」(浜松医療センター感染症内科部長の矢野邦夫氏)

 マニュアルでは「食品を素手で触らない」「85度以上のお湯で1分以上加熱」「生食はしない」「調理器具は漂白剤に漬ける」などが定められてある。

 また、少し長めのタオルも1つは欲しい。

「直射日光を避けるために首に巻いたり、マスクの代わりに口に当てたり、包帯などいろいろな使用が可能です。持ちすぎると逃げられなくなるので、下着など支度は数日分。薬を必要としている人は3日分は持参すると安心です」(高橋学氏)

 繰り返すが、医療インフラや保健所は崩壊状態にある。いたずらに心配する必要はないが、あとは神頼みしかない。

【写真】新型コロナウイルス対応の医療従事者に感謝の「青」

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