著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

コロナ禍で人気が強まる大学付属校の損得勘定 MARCHでは立教が頭ひとつ抜け出す

公開日: 更新日:

「有名私立大付属校の人気は以前にもまして上がっている」と話すのは大手学習塾の幹部。

「コロナ禍で先が見通せない中、保護者の安定志向が強まっているのです。もともと、大学に内部進学できる私立付属校は早慶を中心に人気がありましたが、その対象範囲が広がってきています」

 幼稚園受験、小学校受験、中学受験、高校受験と、大学付属校に入るにはいくつかのパターンがある。いずれにしても、前倒しして"目指す"有名大へのレールを敷けるのが最大のメリットだ。ただし、目指すといっても、幼稚園や小学校を受験する場合は、児童本人ではなく、親の意向で決めるケースがほとんどだろう。高校に上がって、将来の進路を具体的に考え始める頃、現在の自分が置かれている立場を変えようとする生徒も現れる。

「内部進学する大学に行きたい学部がない場合、他の大学を目指すことになります。特に理系志望の生徒にとって、そうした状況が起こりやすい。もし理工系の学部があったとしても、予算が不足している私立大が少なくないのです。となると、せっかく内部進学しても、期待した勉強はできそうにない。そこで、理系が充実している別の大学に入るために、受験をするといった生徒が出てくるのです」(予備校スタッフ)

 あらかじめ選択肢が限られているマイナス面はあるが、多くの生徒にとって、余裕をもった学園生活を送れるのは何ものにも代えがたいメリット。しかも、有名大に進むことがほぼ約束されているとなると、その付属校に人気が集まるのも当然だ。「そうした有名大の付属校で最近、脚光を浴びているのは立教」と話すのは前出の学習塾幹部。

大学の評価が上がると付属校にも波及

「大学の評価が上がってきたのが影響している。数年前まで、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の中でリードしていたのは明治大ですが、ここのところ、立教大が急伸して、頭ひとつ抜け出している感じなのです」

 その原動力は2006年に経済学部から独立する形で誕生した経営学部。ビジネスリーダーを養成する実践的なプログラムを組んだところ、徐々にそれが世間にも知られるようになる。メディアとのコラボも功を奏し、看板講座に育っていった。

「明治大の経営学部と両方、合格した場合、8割以上の受験者が立教大を選ぶようになった。08年に設置された異文化コミュニケーション学部にも受験者が殺到し、立教人気を押し上げている。それに呼応するように、付属校の人気も高まっているのです」(学校法人立教学院関係者)

 1990年代に立教小学校に入学した30代のOBは「立教に入れて得した気分」と話す。立教池袋中学・高校、立教大まで、16年間、東京・豊島区のキャンパスに通い続けた。大学では発足してまもなくの経営学部で学んだ。

「知り合いの息子さんが昨年、立教小学校を受けたんですが、落ちてしまった。僕らの頃と比べて、ものすごく難しくなっているそうなんです。大学の評価もずいぶん高くなっている。在学している時はそんなふうには思わなかったけれど、今は立教の卒業生であることを誇らしく感じています。右も左もわからず、親に勧められるままに受験したのですが、ラッキーでした」

■小学校から大学までにかかる費用は2000万円

 立教のケースとは逆に、大学に進む頃には、付属校に入った時点よりも学校のブランド力が落ちていたなんていうこともめずらしくない。必ずしも、右肩上がりで評価が上がっていくものではないのだ。そこまで見通すことは難しく、付属校選びも運次第のところがある。

 もうひとつ留意しなければならないのは学費。私立でずっとすごすとなると、その費用は馬鹿にならない。私立としてはごく平均的な立教の場合でも、小学校から大学まで在学すると、諸々の経費を合わせ、少なくとも2000万円はかかる計算になる。ドライな言い方になるが、将来の就職まで含め、その金額が見合っているのかどうか、費用対効果をじっくり見極める必要があるだろう。

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