【さね松】(兵庫・甲子園口)伝統のふくさ寿司は関西で2軒だけ
金額を気にすることなく、寿司を腹いっぱい食べたい。江戸時代の江戸前は、庶民が屋台で空腹を満たすファストフードだったはずだ。そこで、編集部はそんな江戸の気概を今に受け継ぐ店を見つけてきた。夜でも5000円でお釣りがくる良心的な町寿司を!
水ぶくれ、めくれた皮、やけどの痕……。こんなことで音を上げたら名物の寿司はつくれない。JR神戸線甲子園口駅から徒歩3分。伝承大阪寿司「さね松」の2代目・實松洋輔さんの手は数百度の銅板に素手で立ち向かうから硬くて分厚い。そのたくましい手でつくる逸品がふくさ寿司だ。
「玉子のふくさは一枚一枚手作りなので、まず熱さに耐える手をつくらなければ始まらない。玉子を焼く銅板の温度は測ったことはないけど、相当な高熱。うちのスタッフはみんな水ぶくれややけどを乗り越えて、強い手をつくってますよ」
ふくさはまず薄焼き玉子をつくり、おからのおぼろ、ちらし寿司、焼きアナゴ、ハスの甘酢漬けをのせ、玉子をふくさ包みにしてミツバでくくる。銅板の温度が低いと玉子が張りついたり焼き目がついたりして、きれいな色の薄焼き玉子にならない。高熱で一気に焼き上げることが大事だ。