【さか井】(京都・烏丸)「もうトシもトシだから」と笑うも3代目に譲るつもりナシ
金額を気にすることなく、寿司を腹いっぱい食べたい。江戸時代の江戸前は、庶民が屋台で空腹を満たすファストフードだったはずだ。そこで、編集部はそんな江戸の気概を今に受け継ぐ店を見つけてきた。夜でも5000円でお釣りがくる良心的な町寿司を!
創業は昭和28年でカウンターだけ6席。20年後に店を継いだ坂井繁夫さんと妻の和美さんが切り盛りする。だが、3代目に譲るつもりはない。
「主人の後は誰も継ぎませんよ。会社は経営を教えてもらえば継げるけど、技術は継げない。自分だけのものなの。主人も初代のではなく、自分の技術でここまでやってきたんよ。だからいつ辞めるかも分かりません」(和美さん)
その横で繁夫さんが「そう。もうトシもトシだから毎日が閉店セールですわ」と笑う。
人気メニューは、サバの姿寿司(3200円、持ち帰り3500円)。京の台所と呼ばれ、観光客にも人気の錦市場から仕入れた生のサバを三枚におろす。朝から塩に5時間漬け、水で洗い酢で3時間しめる。ご飯には水、酢、酒、出汁。
「酒を入れるとまったりして持ち帰っても味が変わらない。ウチのご飯は黄色みがかっているけど、出汁が入ってるからなんよ」(和美さん)