近視がよくなるヒントは「外遊び」にあり 台湾での取り込み効果が世界で広がる
日陰で十分、屋外で太陽光を
これから夏に向かうため、もちろん熱中症にならない程度に無理せずでいい。
それでも屋外を重視するのは、実は太陽の光が大切なのだ。
「太陽光が網膜を刺激してドーパミンが分泌されると、近視の進行が抑制されると考えられています。それなら、窓際の屋内でもいいだろう? そう考えるかもしれませんが、それでは不十分。網膜への刺激としては1000ルクスほどの明るさが必要ですが、晴れの窓際で2500ルクスで、曇りの窓際は800ルクスとバラバラです。また自然光が窓ガラスを通ると波長が変わります。そうした影響を考えると屋外がベスト。晴れた日の屋外なら日陰でも十分なのです」
窪田氏は、90分ほどかけるだけで2時間の外遊びと同じ効果が期待できる近視対策メガネ「クボタグラス」を開発した。大人の利用者も多く、目が疲れにくくなった、近視のレンズ交換をしなくてよくなった、といった声が寄せられているという。
近視の治療法としては、オルソケラトロジーやアトロピン点眼などがある。
■近視対策は必要不可欠
いずれも日本では保険が利かず自費治療。保険制度上も近視対策が手薄だが、近視を放置していいことは何もないという。
「たとえば、網膜剥離はその名の通り網膜が剥がれる病気で、失明につながります。一般の方はボクシングで発症するイメージを持っているかもしれません。確かに外傷などで強い衝撃を受けることも発症原因のひとつですが、もうひとつ見逃せないのは近視の影響です。強度近視の人は特に要注意で、近視によるケースだと剥離がじわじわと進むため、剥離による見えにくさを気づきにくく、気づいたときには治療しても視力を十分回復できないこともあるのです。このほか緑内障や白内障、近視性黄斑症といった病気も近視によって発症しやすくなります。いずれも失明リスクがありますから、近視はしっかりと対策をすることが不可欠なのです」
1年に1回、健康診断で内科的な病気をチェックするように、目の状態についても定期的なチェックが欠かせない。特に網膜を調べる眼底検査は重要だという。