麻布がデッドラインを死守したカラクリ…入試倍率“2倍”をギリギリでキープ
■今年も大幅に減少
「御三家は小学校の学年上位の数人だけが受ける超進学校。いくら倍率が下がったからといって、難易度が緩和されるわけではない。ただ、麻布が2倍を下回るなどこれまで聞いたことがなく、受験業界の人間たちも一様に驚いた」(学習塾幹部)
結局、事件は起こらなかった。2月1日に行われた入試は2.16倍と、かろうじてデッドラインを守った。前出のOBも含め、関係者たちの多くは胸をなで下ろしたが、実はこれにはカラクリがある。昨年の受験者数は前年から84人も減り796人に。そして今年は737人と「耳にしたことがない水準」(塾幹部)まで落ち込んだ。ではどうやって2倍台を保ったのか。合格者数を減らしたのだ。この5年間の推移を見ると、377→371→365→352→340人となっている。
入試判定はトップシークレットだが、麻布の元教員は「倍率を維持するために合格者数をいじることはありえない」と話す。ただ、生徒の質は維持しなければならない。試験内容によって合格最低点は上下するにしても、難易度は変わらないというのだ。つまり、「学校側が考えるハードルに達する受験者が少なかっただけのこと」と元教員は合格者数が減った理由を推察する。一方、前出の塾幹部は「合格者数減から麻布のレベルの下降が読み取れる」という。麻布の定員は300人。今年の場合でいえば、40人が他の学校に逃げていくと想定していることになる。その相手の1番手は最難関の筑波大付属駒場(中学定員120人)だ。