介護現場の崩壊で避けられぬ経済的損失…賃上げ財源乏しく人材流出も止まらず倒産急増
■2030年には9兆円超
厚労省の推計によると、総人口に占める65歳以上人口の割合は、2040年には約35%になる。日本はこれから超高齢社会を迎えるというのに、介護業界は崩壊し始めている。
「人手不足により、すでに介護を必要とする人が必要な時にサービスを受けられなくなりつつあります。介護難民が続出しかねない現状を見過ごせば、介護のため家族が仕事に支障をきたしたり、離職せざるを得なくなったりと、社会の大きな損失につながります」(村上久美子氏)
経産省は、働きながら親などを介護する「ビジネスケアラー」について、労働生産性の低下などによる経済的損失が2030年には9兆円超に及ぶと推計。このままだと、さらに損失額が膨らみかねない。
介護業界の危機を放置することは、日本経済全体にも大きな支障を及ぼす。