プロ野球で続出するドーム球場「天井直撃弾」の原因は?
■バットには厳密な規定がない
原因は、道具の進化と技術、体力の向上だ。
プロ野球における用具の技術革新はそれこそ「日進月歩」。ボールには反発係数を設けているから、規格外だと「飛ぶ」「飛ばない」と問題になるが、バットに関しては圧縮などを施さない「自然の木」と「長さ、太さ」というルールだけ。材質はホワイトアッシュ、メープル、アオダモなど種類がバラバラ。ボールに対するバットの反発力もメーカー任せになっているのが現状である。
そこに、マシンで打ち放題可能となった選手の打撃技術の向上とウエートトレーニングによるパワーアップも加わる。これでは、ボールの反発係数を語る前に、打者の飛距離は伸び続け、狭くなったドーム球場は「室内練習場」になりかねない。
プロ野球評論家の高橋善正氏はこう言う。
「ボールやバットの質が上がって天井や外壁にボールが頻繁に当たるようになったからには、球界は本気になって新たなルールを作る必要がある。打ち損じのフライが天井によって安打になってしまっては、ファンも納得しない。ボールの反発を規制しているのであれば、バットもそろそろ規制をかけるべき。今のままでは至近距離にいる投手だって危険です。それができないのなら、メジャーで加速しているように、日本もドームの屋根を取っ払って屋外球場に戻していくしかない」
ゴルフ界では急激な道具の進化により、公式競技に使えるクラブの反発係数を抑えたりコース改造が行われるようになった。プロ野球に、もはや東京ドームは狭すぎるのだ。