清宮は大丈夫か?「ドライチ」著者が見た新人選手の内面
清宮幸太郎(早実)の争奪戦に沸いた昨秋のプロ野球ドラフト会議。かつて甲子園を賑わせ、清宮と同じドライチ(ドラフト1位指名)で入団したものの、プロの世界で通用した者、しなかった者にはいろいろなドラマがある。この「ドライチ」(カンゼン)は、ノンフィクション作家の田崎健太氏が8人の選手に丁寧な取材を行って書きあげたものだ。読者に伝えたいことを聞いた。
■非常にナーバスであやふやな状態
――この本には8人のドライチが登場します。それぞれにドラマがありますが、何人かの選手はマスコミに対する不信感を漏らしていました。
「ドラフトにかかる段階で、アマチュア選手はプロとして見られる。18歳や20代前半の若者が、いきなり完全商品として扱われることへの戸惑いは大きい。内面は非常にナーバスであやふやな状態なんです。入団してからもそうです。でも、メディアは『読者の要求に応える』ということを理由に、選手に何か言わせようと誘導尋問したり、聞いた話を膨らませて書く。その記事を読んだ選手は、え!? と思うわけです。プロ生活に慣れてくると、ジョークや抽象的な答えで記者の質問をはぐらかすこともできるようになりますが、新人にそれを求めるのは酷です」