新国立は五輪後トラック撤去 「陸上の聖地」はどこへ…?
「都内から移転するのは絶対にまずいでしょ」
ある陸上関係者がこう言うのは、陸上の“聖地”の件だ。
現在建設中の新国立競技場は、2020年の東京五輪が終わると、収益性の問題から陸上トラックは撤去され、サッカーやラグビーの球技専門となる。よって、陸上の日本選手権や国際大会が開催できる競技場は他の場所に整備することになるのだが、有力なのは21~22日に「TOKYO Combined Events Meet2018」の会場となる駒沢陸上競技場(世田谷区)と味の素スタジアム(調布市)だ。
一方、関西の陸上関係者は「国立が使えない以上、都内にこだわることはない。約5万人を収容できる長居(競技場)は伊丹と関西の2つの空港が使える。新大阪からも電車で約30分。アクセスもいい」と、大阪移転を望んでいる。
それにしても、新たな「聖地」が未定なのに新国立を建設するというのは陸上競技を軽視している証拠。以前の国立には、日本人初の陸上(三段跳び)五輪の金メダリスト織田幹雄氏の偉業を称え、第4コーナーに記録(15.21メートル)と同じ高さの「織田ポール」が立っていた。陸上界のシンボルは今、国立スポーツ科学センターの陸上トラックにひっそり立っている。「陸上の父」は天国で泣いているはずだ。