キング・カズ編<中>のぼせ上って“ツーショット”撮らず後悔
J1の最年長出場記録を大幅に塗り替えた横浜FCの三浦知良はニックネームの通り、所属していた東京V、京都、神戸でも「キング」だった。試合後に記者が待ち構えている取材エリアのミックスゾーンに姿を現すのは、いつも最後。にも関わらず、マスコミ各社はカズのコメントを取ろうと誰も場所を離れない。試合に勝とうが負けようが、ゴールしたかどうかに関係なく、カズのコメントは必要不可欠。もはや試合を超越した存在とも言える。
■キングと試合会場で会話することは不可能
キングゆえに試合会場でカズと個人的に話をすることは、まず不可能だ。カズといつ会話を交わしたのか、思い起こすと6年前にさかのぼる。2014年6月13日、ブラジルW杯の取材でサンパウロに滞在していた時のことだ。日本代表のキャンプ地であるイトゥーから前日に移動し、グアルーリョス空港8時40分発の飛行機で日本の初戦が行われるレシフェへ移動した。
当時のサムライブルーは、就任直後の2011年にアジア杯で優勝したザッケローニ監督の総決算として期待を集めていた。しかし、その反面、キャプテンの長谷部とエースの本田が、ケガの回復途上にあって本大会に間に合うかどうか、不安視されていた。サンパウロからレシフェまでの距離は約2111キロ。時間にして3時間弱のフライトだ。安定飛行に入り、シートベルトの着脱アナウンスが流れてしばらくすると、前方から鍛えられた体躯の男性が歩いてきた。「まさか」と思ったが、それがカズだった。