スカウト交渉に難儀…初めて訪れた内モンゴル自治区は見渡す限りの荒野だった
私の後を継いで荒汐部屋の師匠となった荒汐親方、元幕内蒼国来と出会ったのは、2003年4月。弟子をスカウトするため、中国内モンゴル自治区に行った時です。
当時は朝青龍や旭鷲山、旭天鵬ら、モンゴル人力士が土俵で活躍していました。そんな時、私に「モンゴルだけじゃない。内モンゴルにも将来性のありそうな若者はたくさんいるよ」と教えてくださったのが、日本体育大学名誉教授でもあった山本郁栄さん。女子レスリングで活躍し、今はダルビッシュの奥さんでもある山本聖子さんのお父さんです。
郁栄さんもレスリングの指導者として活躍なさっていたので、中国のスポーツ事情に詳しかったのでしょう。
私は2002年に時津風部屋から独立したばかり。弟子も1人しかいませんでした。そこで内モンゴルに行き、弟子をスカウトしようと思い立ちました。
中国政府とさまざまな交渉をし、紹介してくれた内モンゴルの大学へ。まず、成田空港から北京に飛び、そこから1日2便しかない内モンゴル行きの飛行機に乗り継ぎました。