逸ノ城が見た「天国と地獄」の8年 混沌の名古屋場所で悲願の初賜杯達成!
モンゴルの巨体が混沌の名古屋場所で初賜杯を掴んだ。
24日の千秋楽、優勝の可能性があったのは3敗の横綱照ノ富士、平幕の逸ノ城(29)、そして4敗の大関貴景勝の3人。まず逸ノ城が宇良を下して3敗をキープした時点で、貴景勝の優勝は消えた。そして迎えた結びの一番、貴景勝が大関の意地を見せ、横綱を撃破。これで唯一3敗の逸ノ城が自身初優勝となった。
192センチ、211キロの幕内最巨漢。モンゴルでは遊牧民として馬に慣れ親しんだ生活を送っていた。共にスカウトされた照ノ富士と同じ飛行機に乗り、2010年に来日。相撲強豪校の鳥取城北高に留学し、卒業後は実業団を経て湊部屋に入門。新入幕の2014年9月場所では2大関、1横綱を破る快進撃で13勝2敗の成績を残し、角界に「小錦以来となる黒船襲来」と衝撃を与えた。
が、その後はアマチュア時代から抱えていた腰痛が悪化。椎間板ヘルニアにも悩まされ、思うような成績を残せなかった。
「新入幕時の活躍でマスコミが殺到。湊部屋は歴史が浅く、関取も湊親方(元幕内湊富士)しかいなかったこともあり、取材対応のノウハウがなかったんでしょうね。当初は片端から取材依頼を受け、CMやテレビにもバンバン出ていた。おかげで逸ノ城は満足に稽古ができず、ストレスにも悩まされて体重が増減。最初の活躍で歯車がズレてしまったことが、ケガが増える遠因となった」(角界OB)